第22回医薬品等ウイルス安全性シンポジウム 各演題への質問と回答
なお、実際にいただいた質問について回答を研究会にてとりまとめ、Q&A形式にアレンジしたものとなりますので、ご了承ください。
演題1 「新型コロナウイルス、ワクチン、そして、カリコ博士」
Q1:(演題1への質問)
ここ1-2年の状況とは異なり2022〜2023シーズンはインフルエンザの流行に注意が必要と考えるべきか?
インフルエンザ流行の可能性等を考慮した場合は、診断にはCOVID-19単独のものとインフルエンザとのコンボキットのどちらが有用と考えられるか?
A1:
欧米では感染症対策が緩んでおりインフルエンザに限らず外国からの旅行者が増えてくると輸入感染症の流行が懸念されます。そして、COVID-19の流行により2シーズンにわたってインフルエンザの流行がなかったことからインフルエンザに対する集団的な免疫状態が低下しているとはいえ、日本の場合は、マスク着用等感染防止対策が、ほぼ完全に近い形で実施されていることで南半球のような急増には至らないように思われます。呼吸器感染症ウイルスの干渉作用からCOVID-19の流行に左右されますので、オミクロン株の変異株BA4, BA5の挙動や高齢者への4回目のmRNAワクチン接種、小児へ接種率によっても流行状況が変わってきます。インフルエンザの急増が伝えられているオーストラリアでもCOVID-19の流行は続いていますので楽観はできません。両感染症ともに発症初期の症状から診断することはできませんので適切な感染症対策には両方の抗原検出キットが有用と思われます。